円覚経

此の身は畢竟体なく、和合して相を為すこと実に幻化に同じき

虚空は是れ暫有にあらず、亦（また）暫無にあらず

諸愛の厭悪すべきを知るが故に、

愛を棄て捨を楽へば、還って愛の本を滋す。

（厭悪：えんお、楽へば：ねがえば、還って：かえって、滋す：うるおす）

智慧も愚痴も通じて般若なり

無明と真如とは境界異るなし。

諸の戒定慧及び淫怒痴俱に是れ梵行なり。

（戒定慧：かいじょうえ、淫怒痴：いんぬち、俱に：ともに）

地獄も天宮も皆浄土なり。

一切の煩悩畢竟じて解脱なり。

衆生は解の為に礙へられ、菩薩は未だ覚を離れず。

（礙へられ：さえられ）

先づ至静を取り、思念を起こさず、静極まれば便ち覚す

（至静：しじょう、便ち：すなわち）